【プロ監修】前腕筋の鍛え方|前腕部を効果的に鍛えるトレーニングをプロが徹底解説

「前腕筋」とは?どこの筋肉?
「前腕筋」とは、肘から手首までの「前腕部」を覆っている筋肉の総称です。特定の1つの筋肉を指す名称ではなく、複数の筋肉が集まって構成されているため、「前腕筋群」とも呼ばれます。
手首を曲げ伸ばししたり、指を動かしたり、雑巾を絞るように腕を捻ったりする動作は、すべてこの「前腕筋」の働きによるものです。日常生活で頻繁に使われる筋肉ですが、意識して鍛えることで、機能面でも見た目でも大きな変化が期待できる部位です。
構成する2つの筋肉群
「前腕筋群」は、その働きによって大きく2つのグループに分けられます。それぞれの位置と役割を理解しておくと、トレーニングの効率が高まります。
1. 肘の内側を通る「前腕屈筋群」
「前腕屈筋群」は、主に手首を内側(手のひら側)に曲げたり、指を強く握ったりするときに働く筋肉の集まりです。腕を前に出したとき、手のひら側についている筋肉です。
【主な構成筋肉】
- 「橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)」
- 「円回内筋(えんかいないきん)」
- 「長掌筋(ちょうしょうきん)」
- 「尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)」
- 「浅指屈筋(せんしくつきん)」など
2. 肘の外側を通る「前腕伸筋群」
「前腕伸筋群」は、手首を手の甲側に反らせたり、指を伸ばしたりするときに働く筋肉の集まりです。前腕の外側から手の甲側についています。
【主な構成筋肉】
- 「腕橈骨筋(わんとうこつきん)」
- 「長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)」
- 「総指伸筋(そうししんきん)」など
※細かい名称をすべて覚える必要はありません。「内側が曲げる筋肉」「外側が伸ばす筋肉」とイメージしておきましょう。
「前腕筋」を鍛えるメリット
「前腕筋」をトレーニングすることで、男性にも女性にも嬉しいメリットがあります。
1. 握力の強化が期待できる
「前腕筋」は指の動きと連動しているため、鍛えることで握力の向上が期待できます。
握力が強くなると、重い荷物を楽に持てるようになるだけでなく、懸垂(チンニング)やデッドリフトなど、他のトレーニング種目を行う際にも、バーベルやダンベルをしっかり保持できるようになります。結果として、背中や腕のトレーニングの質を高めることにもつながります。
また、野球、柔道、テニス、ゴルフなど、道具を握るスポーツにおいては、パフォーマンスの向上に役立つ可能性があります。
2. 男性はたくましく、女性はしなやかな腕のラインへ
「前腕筋」は、露出する機会が多いため、見た目の印象に大きく影響します。
- 男性の場合
前腕に厚みが出ることで、Tシャツの袖から見える腕がたくましく、男らしい印象になります。血管が浮き出るような力強い腕を目指す方には欠かせない部位です。 - 女性の場合
手首から肘にかけてのラインが引き締まり、しなやかでスッキリとした印象の腕になります。「腕を出すファッションを楽しみたい」という方におすすめです。
トレーニングを安全に行うための注意事項
手首や肘は関節が小さく、繊細な部位です。怪我を防ぐために、以下の点に注意してください。
- ウォーミングアップを行う
いきなり重いダンベルを持つのではなく、手首を回したり、軽いストレッチを行ったりして関節を温めてから開始しましょう。 - 痛みを感じたら中止する
手首や肘に鋭い痛みや違和感を感じた場合は、直ちにトレーニングを中止してください。無理を続けると腱鞘炎などの原因となる場合があります。痛みが長引く場合は、医療機関へ相談してください。 - 過度な重量を扱わない
前腕は小さな筋肉の集まりです。無理に高重量を扱うとフォームが崩れ、関節への負担が大きくなります。コントロールできる重量設定が重要です。
トレーニング効果を高める3つのコツ
ただダンベルを持ち上げるだけでなく、以下のポイントを意識することで、トレーニングの効果をより高めることができます。
1. 「低重量・高回数」を意識する
「前腕筋」は「遅筋繊維(持久力のある筋肉)」の割合が高い傾向にあり、日常生活で使い慣れているため、簡単には疲れません。そのため、少ない回数で終わる高負荷トレーニングよりも、回数を多くこなすトレーニングの方が筋肉に刺激が入りやすいといわれています。
- 男性(肥大目的):10〜15回で限界がくる重さ
- 女性(引き締め目的):15〜20回程度行える軽めの重さ
上記を目安に設定するのがおすすめです。
2. 複数の種目を組み合わせる
前述の通り、「前腕筋」は多くの筋肉で構成されています。「手首を曲げる」「手首を反らす」「手首を捻る」など、異なる動きの種目を組み合わせることで、前腕全体をバランスよく鍛えることができます。
3. 正しいフォームと可動域を保つ
疲れてくると、腕全体を振って反動を使ってしまいがちです。肘の位置を固定し、手首の動きだけでウェイトをコントロールするように意識しましょう。また、可動域(動かす範囲)を広くとることで、筋肉がしっかりと伸縮し、トレーニング効果が高まります。
基本の呼吸法について
筋力トレーニングにおいて、呼吸は非常に重要です。正しい呼吸は血圧の急上昇を防ぎ、力を発揮しやすくします。
- 力を入れる(持ち上げる)とき:息を吐く
- 元に戻す(下ろす)とき:息を吸う
前腕のトレーニングは動作が小さいため呼吸を止めてしまいがちですが、常に自然な呼吸を続けるように意識しましょう。
「前腕筋」を鍛えるダンベルトレーニング3選
ここからは、ダンベルを使った代表的なトレーニングメニューを紹介します。
1. ライイング・プロネーション
手首を内側に捻る(回内させる)動きで、「円回内筋」や「方形回内筋」などを鍛える種目です。
【やり方】
- フラットなベンチ(または床)に仰向けになります。
- ダンベルを片手で持ち、腕を天井に向かって垂直に伸ばします。
- 肘を軽く曲げ、位置を固定します。
- 息を吸いながら、ゆっくりと手首を外側へ倒していきます(手のひらが顔と反対側を向く方向へ)。
- これ以上倒せない位置までいったら、息を吐きながら元の位置に戻します。
- この動作を繰り返します。反対側の手も同様に行います。
【回数・セット数】
10~15回 × 2~3セット
【注意点・コツ】
- ダンベルの片側の重り部分を持つと、遠心力が働き負荷がかかりやすくなります。
- 肘が動かないように、反対の手で肘を支えるとフォームが安定します。
- 手首を痛めやすい動きなので、軽い重量から始めてください。
2. スピネーション
手首を外側に捻る(回外させる)動きで、「回外筋」や「上腕二頭筋」を刺激する種目です。ドアノブを回すような動きをイメージしてください。
【やり方】
- ベンチや台の端に座り、ダンベルの端(重りの部分)を握ります。
- 前腕をベンチの上に置き、手首から先だけをベンチの外に出します(または肘を太ももの上に固定します)。
- スタートポジションは、手のひらが内側(親指が上)を向いている状態です。
- 息を吐きながら、手のひらが上を向くように手首を外側に回します。
- 最大限まで回しきったら、息を吸いながらゆっくりと元の位置に戻します。
【回数・セット数】
10~15回 × 2~3セット
【注意点・コツ】
- 上腕(二の腕)や体が一緒に動かないように注意し、前腕の回転だけを意識します。
- 動作はゆっくりと行い、筋肉の収縮を感じ取ってください。
3. ダンベルハンマーカール
ダンベルを縦に持ったまま行うアームカールです。「上腕二頭筋」だけでなく、「前腕伸筋群」の一つである「腕橈骨筋」を強く刺激できます。太くたくましい腕を作るための定番種目です。
【やり方】
- 両手にダンベルを持ち、背筋を伸ばして立ちます(足は肩幅程度)。
- 手のひらが体側を向くように(親指が前の状態)ダンベルを保持します。
- 肘を体側に固定したまま、息を吐きながらダンベルを持ち上げます。
- 肘が90度以上曲がり、収縮を感じたら、息を吸いながらゆっくりと元の位置まで下ろします。
【回数・セット数】
8~12回 × 3セット
【注意点・コツ】
- 反動を使って上げないように、体幹を固定します。
- 肘が前後に動くと負荷が逃げてしまうため、肘の位置は常に固定しましょう。
- 下ろすときも力を抜かず、重さに耐えながらゆっくり下ろすことで効果が高まります。
まとめ
「前腕筋」は、地味なようでいて、実は見た目の印象や他のトレーニングの質を左右する重要なパーツです。
- 男性: たくましく力強い腕の演出に役立ちます。
- 女性: 引き締まった美しい腕のライン作りに役立ちます。
ただし、手首はデリケートな関節ですので、焦らず丁寧なフォームで行うことが何よりも大切です。まずは軽い重量からスタートし、徐々に負荷を上げていくことで、安全かつ効果的に理想の腕を目指しましょう。
もし、「自分に合った重量がわからない」「正しいフォームができているか不安」という場合は、プロのトレーナーにチェックしてもらうのも一つの方法です。

カラダバンク編集部
カラダバンク編集部にてフィットネスや食事に関する記事を執筆しています。

